
岩本貴志
「続、カイツブリの子育て」その28、親子
Updated: Jul 26, 2022
このブログは2018年に井の頭公園で繁殖したカイツブリの繁殖、子育て奮闘の様子を紹介しています。
前年、観察を続けていたヒナたちは全滅。今年こそヒナが立派に成長するまでの一部始終が見てやろう!と、書き始めたのがこのブログです。

無事に育っている七井橋ファミリーのヒナ、7月19日
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何日か姿を見つけられなかった七井橋のカイツブリ、2羽のヒナは無事に育っていた。
何の事は無い、見られなかったのは管理人の観察不足だった。
ヒナたちは、2羽仲良く水生物館向かいから、御茶ノ水の橋の近く仲良く泳いでいるのを見かけた。
ヒナたちはがんばって、小さな虫などを捕まえて食べている。
親鳥もちゃんと2羽いるようで、親鳥はたまに餌を持ってきてくれているようだ。
前回ブログで取り上げた、このファミリーにちょっかいを出していたカイツブリは見かけない。
どこかに飛び去ってしまったのだろうか?
7月19日現在、井の頭公園では3つのカイツブリファミリーが生活している。
ヒナの数は
ひょうたんファミリー、3羽
七井ファミリー、2羽
弁天ファミリー、3羽
どの家族のヒナたちも羽の色は違えど、親鳥に近い大きさになってきた。
そして、どこのファミリーのヒナも親鳥に甘えようと近づくと攻撃を受けるようになってきた。
子の親離れを促すための行動の一環なのだろう。
親鳥も甘えようとするヒナを見ると、「甘えるな!」と怒っている様でもある。
親鳥は怒って攻撃するだけではなく、ちゃんと教育も怠らない。
親鳥が水面に上がってくると、餌を持っている持っていないにかかわらず、ヒナたちは餌がもらえないかと親鳥に近づいていく。
大抵親鳥はヒナが接近してくると潜ってどこかへ行ってしまう。
これを何度も繰り返されると、ヒナは水中へと親鳥が潜った後を追いかけて行く。
親鳥はこうやって、ヒナが水の中に潜るのを望んでいたようだ。
水中では、雛に餌のとり方を教えてあげているようだ。
また、ただ潜るだけで無く、「こんな場所に餌がたくさんいるんだよ!」と水面を餌の豊富なポイントへと誘導して行く。
こうやって雛たちはどこでどんな餌が捕まえられるのかを学んでいくようだ。
親離れして最も重要なのは、自ら餌が捕まえられるかどうか。
獲物が捕らえられるかどうかは、生死にかかわる重要な問題だ。
ここでちゃんと教育を受けないと、親離れした後で大変な事になってしまうのだろう。
ヒナたちも人間同様、百羽百様、同じ両親を持つ兄弟であれど、性格は皆違う。
積極的に潜るヒナもいれば、ほとんど潜らず、水面で親鳥の餌ばかりを待つヒナもいる。
勝手にどこかへと行ってしまうヒナもいる。
そんな中、餌ばかり待っている甘えん坊のヒナが親鳥のいじめのターゲットになってしまうようだ。
親鳥のヒナへの攻撃は、いつまでも甘えようとするヒナに、「もう甘えるな!」との意思表示のようだ。
それでも、しつこく甘えようとするヒナは、親鳥の集中攻撃を受ける。
だから甘えたい盛りの、より小さなヒナが親鳥にやられる事になってしまう。

ひょうたんファミリー、7月11日
ひょうたん橋ファミリー、いつもいちばん小さなヒナが集中的にいじめられている。
右のヒナは親鳥への甘えが許容されているようで、甘えてもほとんど攻撃を受ける事が無い。
それを見ると、単に、ヒナの甘え防止と独り立ちだけを促しているだけではないのだろう。
そこには、残酷だが間引きの要素も入っているのかもしれない。
もしくは、ヒナのオスメスも関係しているのかな。
それでもへこたれなければ、小さなヒナも育っていく事が出来る。
上の写真、攻撃しているのはオス親と思われるが、
お母さん子と思われていたヒナは攻撃されながらもいつもお父さんに世話を受けている。
きっとこの兄弟仲が良いのだろう、親鳥が出かけている時はいつも仲良く一緒に行動している。
こんなに攻撃を受けながら、一週間経った7月19日もちゃんと生きていた。
こんなにいつも攻撃されながらも生きて行くヒナ、とても打たれ強くなり強い親鳥になりそうだ。

攻撃は後頭部がねらわれる。7月11日
攻撃で狙われるのは大抵後頭部。
何とか逃れようと水中へと逃げるが、親鳥は水中もずっと追いかけて行く。
攻撃される側のヒナは大変だ。

ヒナも親鳥の行動を真似、仲良し兄弟を攻撃 7月11日
ヒナは親の行動を真似ながら育って行く。
仲のよい兄弟も、親鳥を真似て兄弟を攻撃する。
きっと遊びの感覚なのだろう。

巣を 最初に作った場所に、再び巣がこしらえられた。休息所のようだ。7月11日
ヒナの独り立ちを促すために鞭ばかりが与えられるのではなく、飴も与えてくれる。
ひょうたん橋の近く、最初に巣を作った場所に再び巣が作られた。
ヒナが休むための休息場所なのだろう。
この急ごしらえの巣は数日後すでに流されてしまっていた。
そんな数日後、2羽のヒナを連れて巣の近くにやってきた親鳥、「あれ?巣は何処だ?」あちこち探すが巣は見つからない。
まっすぐと元来たほうへと戻っていった。
きっと、ヒナを休ませてあげようと巣のあるはずの場所に連れてきたのだろう。

親は親、子は子。大きくなったヒナはまだ、親鳥の羽の中に入ろうとしていた。 7月19日ひょうたん
これだけヒナを自立させようと攻撃する親鳥も、やはり親は親、子は子である。
雛は、親鳥が攻撃してこないのを見受けると、親鳥にゆっくりと近づいた。
ヒナは親鳥とさほど変わらない大きさに成長しているにもかかわらず、小さかった時の様に、親鳥の羽の中に入ろうとしている。
そして親鳥もヒナが羽に入ろうとしているのを許容。
もちろん親鳥と同じくらいに成長した雛、そんな事出来るはずもない。
甘えられるほうの親も、心地良さそうだ。
ヒナに鞭を与えている親鳥も、ヒナがかわいくて仕方が無いのだろう。
でもそんな事を言っていてはヒナが自立出来なくなってしまう。

攻撃を受ける小さなヒナ、「負けるな!がんばれ!」 7月18日 ひょうたん
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つづく
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