• 岩本貴志

フィルターを使って星空を撮り比べてみた。

最終更新: 2日前


前回、レンズのシャープさ味気なさについて書いたので、今回はそれにちなんで、ソフトフィルターの事を書いてみようと思います。

最近のレンズは非常にシャープで、さらにカメラは高画素、センサーもローパスレスだったりして、とにかくシャープに仕上がってくれる。でも味気ない。そんな事を前回書いた。

カメラの進歩は留まるところを知らず、高感度ノイズも非常に少なくなり、以前だと全く信じられなかったような超高感度でも美しい写真を撮る事が出来るようになった。最近(2017年)のカメラでは月の出ていない夜間にもかかわらず、液晶ファインダーで星空と地平線が確認出来るほどの高感度カメラも出てきている。さらに制約はあるものの、赤道儀の自動追尾機能までカメラ内の撮像センサーを動かす事によって可能にしてしまった機種まであるほど、とにかく驚きである。今後も今では信じられないような更なる高性能カメラが登場してくる事だろう。

冬の大三角形

そんなこんなで三脚さえあれば、美しい星空の写真を手軽に撮ることが出来るようになった。

神秘的な宇宙の姿が、手軽に撮影出来るとは、とてもありがたい事だと感じる。

実際カメラで星空を撮影すると、肉眼では見られない暗い星まで、驚くほど多くの星が写ってくれる。

ただ、あまりにも多くの星が写るので、見た目とかなり違って星座の形が非常に分かりにくくなってしまう。

特に最近のカメラとレンズで撮るとその傾向が強く、明るい星から暗い星までどの星も同じように、とても小さな点状に写る。だから、どの星が明るい星で星座を形成しているのか、すごく分かりづらい。

星座を浮き上がらせる方法にピントを少しだけずらすという方法もある。

その方法だと明るい星は浮き上がるものの、いわゆるピンボケ写真で、暗い星は消えてしまい、せっかくの高画素カメラと高解像度レンズが台無しになってしまう。

そこで出てくる助っ人が、ソフトフィルターやクロスフィルター。

今回、星空写真で星座を浮かび上がらせるには、どのフィルターが良いのか実際星空を撮影して比べてみた。

明るい星を浮かび上がらせるのに適当と思われる、手元にあったフィルターは、

ケンコー・トキナー社製の、SOFTON SPEC[B] 77mm、 PRO SOFTON-A(W) 77mm、そしてR-CROSS SCREEN 77mmの三種類のフィルターである。

フィルターは1枚だけでなく、組み合わせたりもしながら、効果を比較してみた。

カメラはニコンD800E、レンズはニコンAF24-70mmf2.8G、35mm付近でそれぞれ開放、ISO400で、3分間の露出を与えて比較してみた。ニコンAF180mmf2.8Dの望遠でも撮り比べてみた。

赤道儀で追尾しての撮影である。

使用した赤道儀は、管理人が小学生の時、今からおよそ30年前に購入したビクセン社製のスーパーポラリス赤道儀。

日本製で最近のこのクラスの中国製のもの比べると、ものすごい高精度。

今でもびくともしないで使えている。ギアのかみ具合等細かい調整も可能、肝心な場所にプラスチック等使っている事もなく、今では信じられないくらいしっかりした作りである。

細かい事はさておき、赤道儀を使用しての追尾撮影については、そのうち日を改めて、書こうと思う。

せっかくアフリカにいる事なので、南十字星周辺の明るい星もふんだんにある南天、最も賑やかな場所をターゲットに選んだ。

まずはフィルター未使用の写真から。

フィルター未使用

天の川の中、中央左寄りに南十字星(正確には南十時座)か写っている。

非常に有名な星座だけれど、よく見れば分かるもののパッと見ではなかなか見つけ難い。

中央右寄りにはエーターカリーナ星雲があり、非常に美しい領域だ。

R-CROSS SCREEN フィルター使用

今度は、R-CROSS SCREENフィルターを使ったもの。

クロススクリーンというだけあって、星にクロスが発生。

星の明るさに応じたサイズのクロスが発生。

ただ、明るい星も小さなまま写って十時ばかりが強調され、何か不自然な感じがする。

SOFTON SPEC[B] フィルター使用

ソフトフィルターを使うと、明るい星ほどより大きく写り、星座を形成する明るい星がより大きく写るので、星座の形がパッと見で浮かび上がってくる。高温の青い星、低温のオレンジ色の星、その中間と、星の色もより鮮明になる。ただ暗い星は、ぼやけて見えなくなってしまった。

PRO SOFTON-A(W) フィルター使用

SOFTON SPEC[B]フィルターと比べると、パッと見ではそんなに違いは見られないが、明るい星はより大きく写る。さらによく見ると、より暗い星まで、芯が残ったままつぶれないで映っている。上のSOFTON SPEC[B]Gと比べると芯を残しながらより大きくぼかす感じだ。星空写真ではこちらのほうがずっといいと思う。

SOFTON SPEC[B] + R-CROSS SCREEN フィルター使用

二枚のフィルターを組み合わせて撮影、それぞれの効果が合わさって星の輝きが表現されている。

PRO SOFTON-A(W) + R-CROSS SCREENフィルター使用

上と等しく、二枚のフィルターのいいところが合わさって、より効果的に星空の表情が表現されている。

SOFTON SPEC[B]Gと比べると、星の芯がより残っている分、クロスもちょっと長く写っている。

頭で思い描く星空に近い感じで、星の輝きも感じる。

PRO SOFTON-A(W) + SOFTON SPEC[B] + R-CROSS SCREEN フィルター使用

更に今度は3枚のフィルターを重ねてみた。

上の二枚組み合わせた写真の効果がさらに強くなり、より幻想的な雰囲気に仕上がる。

ちょっとやりすぎでぼやけた感じはするが、悪くは無い。ソフト感が増した分、クロスフィルターの効果は少なくなった。

フィルターを3枚重ねると非常に厚くなってしまうので、広角レンズでは周辺がけられてしまうので注意が必要だ。

変化がわかりやすくなるようGIF画像にしてみた。

写真の色が若干変化しているのは、撮影中の空の変化によるもの。

撮影中、若干のうす雲が通過した。

今度はレンズを変えて、180mmの望遠で南十字星を撮影。露出はそれぞれ開放f2.8、露出3分

フィルター無しと、R-CROSS SCREEとPRO SOFTON-Aを組み合わせたものだけを比較してみた。それぞれ露出は3分で開放である。

フィルター未使用

お分かりだろうか、画面中央に大きく南十字星が写っている。

肉眼でははっきりと明るく見える南十時星であるが、無数の微光星にうずもれてしまい、わかりずらくなってしまっている。

レンズがシャープであればあるほどよりうずもれてしまう。

PRO SOFTON-A(W) + R-CROSS SCREENフィルター使用

同じレンズ、同じ撮影条件にクロスフィルターとPRO SOFTON-A(W)を装着するだけで、こんなに良く写るのである。

思わずハッとするような星の輝きと、美しさが表現された。

探すまでも無く、南十字星の姿が目に留まり、とてもフィルター無しの写真と同じ条件で撮影したとは思えない仕上がりである。

星の微妙な色までより分かりやすくなった。

焦点距離35mmで撮影した写真と比べると、180mmの望遠では、同じフィルターを使っているのにもかかわらず、フィルターの効果はより大きくなった。

ソフトフィルター、クロスフィルターの効果は焦点距離が長くなるほど大きくなるようである。

こちらもGIF画像にして、フィルターの効果を分かりやすくしてみた。

変化をGIF画像にして分かりやすくした

今回比べてみて星野写真を撮るのに、管理人の一番のお気に入りのフィルターはPRO SOFTON-A(W) と R-CROSS SCREENフィルターの組み合わせだった。

星の明るさや輝きがより美しく表現出来る上、暗い星までつぶれないで写ってくれる。

しかしながらフィルターを組み合わせて撮影するので、広角レンズではケラレが発生してしまうという欠点がある。

広角でもけられないよう、1枚でこの2枚を組み合わせたのと同様な効果を持つフィルターが出てくれたらいいたと思う。

読者の皆様も、ソフトフィルターや、クロスフィルターを使って星野写真を撮ってみたら如何でしょうか。

他にも、多くの種類の星野写真に使えそうなフィルターがケンコートキナー社から発売されているので、色々と試してみたら楽しそうです。

個人的にはサニークロスフィルターで星空を撮てみたいなと思っています。

三脚とデジタルカメラがあれば誰にでも簡単に撮影できるようになった星空の写真。

まだ、撮影した事が無いという方も是非試してみてはいかがでしょうか。

レンズを通して、星空、宇宙への興味が沸いてくるかもしれません。

記事を最後までご覧頂きありがとうございました。

ご興味のある方は右の動画もどうぞ。

ケニアで撮影した星空、星雲、星団をケニアの人々にも星の世界に興味を持ってもらおうと12分ほどの動画にまとめたものです。

説明文は英語になります。

#フィルター #天体写真