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岩本貴志の勝手気まま、ブログ

  • 岩本貴志

フィルターを使って星空を撮り比べてみた。

最終更新: 10月28日

前回、レンズのシャープさ味気なさについて書いたので、今回はそれにちなんで、ソフトフィルターの事を書いてみようと思います。


最近のレンズは非常にシャープで、さらにカメラは高画素、センサーもローパスレスだったりして、とにかくシャープに仕上がってくれる。でも味気ない。そんな事を前回書いた。


カメラの進歩は留まるところを知らないようで、高感度ノイズも非常に少なく、以前だと考えられなかったような超高感度でも美しい写真を撮る事が出来るようになった。


最近(2017年)のカメラでは月の出ていない夜間にもかかわらず、液晶ファインダーで星空と地平線が確認出来るほどの高感度カメラも出てきている。

さらに制約はあるものの、赤道儀の自動追尾機能までカメラ内の撮像センサーを動かす事によって可能にしてしまった機種まであるほど、とにかく驚きである。


今後も今では考えられないような、更なる高性能カメラが登場してくる事だろう。



冬の大三角形


そんなこんなで三脚さえあれば、美しい星空の写真を手軽に撮ることが出来るようになったいま。神秘的な宇宙の姿が、手軽に撮影出来、人に見せ、伝える事が出来るとは、とてもありがたい事だと感じる。


実際カメラで星空を撮影すると、肉眼では見られない暗い星まで、驚くほど多くの星が写ってくれる。

ただ、あまりにも多くの星が写るので、見た目とかなり違って星座の形が非常に分かりにくくなってしまうのだ。

特に最近のカメラとレンズで撮るとその傾向が強く、明るい星から暗い星までどの星も同じように、とても小さな点状に写る。

だから、どの星が明るい星で星座を形成しているのか、すごく分かりづらい。


星座を浮き上がらせる方法にピントを少しだけずらすという方法もある。

その方法だと明るい星は浮き上がるものの、いわゆるピンボケ写真で、暗い星は消えてしまい、せっかくの高画素カメラと高解像度レンズが台無しになってしまう。

そこで出てくる助っ人が、ソフトフィルターやクロスフィルター。

今回、星空写真で星座を浮かび上がらせるには、どのフィルターが良いのか実際星空を撮影して比べてみた。


明るい星を浮かび上がらせるのに適当と思われる、手元にあったフィルターは、

ケンコー・トキナー社製の、PRO SOFTON-A(W) 77mm、SOFTON SPEC[B] 77mm、 そしてR-CROSS SCREEN 77mmの三種類のフィルターである。

フィルターは1枚だけでなく、組み合わせたりもしながら、効果を比較してみた。



今回使用した3枚のフィルター

左から右に、プロソフトンA、 ソフトンスペックB、 Rクロススクリーン フィルター

同じソフトフィルターとしてプロソフトンAとソフトンBの違いが気になるところ、

ソフトンAは、Bタイプよりもフィルター表面のパターン細かいのが解かる。


プロタイプはプロと名の付くだけあり、両面に高品質なコーティングが施されているので、重ねて使う場合に有利だと思われる。


それに対してプロタイプでない方は無コーティング。

でも、あえてぼやかすために取り付けるフィルター、逆にゴースト、フレアが出たほうがより狙ったイメージに近い絵を出してくれる事もあるかもしれない。


最後にRクロススクリーンフィルターは細かい縦横の傷のような縞模様がフィルター全域に施されている。回転機構が付いていて、クロスの出方を360度自由に調整出来る機構となっていて、その分けっこう分厚い。


カメラはニコンD800E、レンズはニコンAF24-70mmf2.8G、焦点距離は35mmに設定しそれぞれ開放、ISO400で、3分間の露出を与えて比較してみた。最後にニコンAF180mmf2.8Dの望遠でも撮り比べてみた。

一世代前のニコン標準大口径ズーム AF-S Nikkor 24-70mm f2.8 G

上が今回テストに使用した標準ズームレンズ。

露出3分と固定撮影では星像が流れてしまうので、赤道儀で追尾しての撮影である。

使用した赤道儀は、管理人が小学生の時、今からおよそ30年前に購入したビクセン社製のスーパーポラリス赤道儀。


当時は当たり前の日本製、最近のこのクラスの中国製のもの比べると、ものすごい高精度。

今でもびくともせず、無故障でずっと使えている。ギアのかみ具合等細かい調整も可能、肝心な場所にプラスチック等使っている事もなく、値段から考えると今では信じられないくらいしっかりした作りである。


細かい事はさておき、赤道儀を使用しての追尾撮影については、そのうち日を改めて、書ければと思っている。

今回のテスト撮影、せっかくアフリカにいる事なので、南十字星(正確には南十時座)周辺の明るい星もふんだんにある南天、最も賑やかな場所をターゲットに選んだ。

南十字星と中央右寄りにはエーターカリーナ星雲があり、オリオン座に次いでにぎやかで美しい領域だ。

下に今回のテストした写真を掲載する。

まずはフィルター未使用の写真から。

フィルター未使用



天の川の中、中央左寄りに南十字星か写っている。

非常に有名な星座だが、よく見れば分かるもののパッと見ではなかなか見つけ難い。

明るい星も暗い星も多少は違いが解かるものの小さな点として再現され、星座の形がわかりずらい。さらに小さな点に星像が凝縮されるので星の色も白飛びしてしまって解かりずらい。



R-CROSS SCREEN フィルター使用


今度は、R-CROSS SCREENフィルターを使ったもの。

クロススクリーンというだけあって、星にクロスが発生。

星の明るさに応じたサイズのクロスが発生。

ただ、明るい星も小さなまま写って十字ばかりが強調され、何か不自然な感じがする。



SOFTON SPEC[B] フィルター使用


ソフトフィルターを使うと、明るい星ほどより大きく写り、星座を形成する明るい星がより大きく写るので、星座の形がパッと見で浮かび上がってくる。高温の青い星、低温のオレンジ色の星、そしてその中間の星と、星の色もより鮮明に浮かび上がる。ただ暗い星は、ぼやけて見えなくなってしまった。


PRO SOFTON-A(W) フィルター使用


SOFTON SPEC[B]フィルターと比べると、パッと見ではそんなに違いは見られないが、明るい星はより大きく写る。さらによく見ると、より暗い星まで、芯が残ったままつぶれないで映っている。上のSOFTON SPEC[B]Gと比べると芯を残しながらより大きくぼかす感じだ。星空写真ではこちらのほうがずっといいと思う。


SOFTON SPEC[B] + R-CROSS SCREEN フィルター使用

二枚のフィルターを組み合わせて撮影、それぞれの効果が合わさって星の輝きが表現されている。

PRO SOFTON-A(W) + R-CROSS SCREENフィルター使用

上と等しく、二枚のフィルターのいいところが合わさって、より効果的に星空の表情が表現されている。

SOFTON SPEC[B]Gと比べると、星の芯がより残っている分、クロスもちょっと長く写っている。

頭で思い描く星空に近い感じで、星の輝きも感じる。

PRO SOFTON-A(W) + SOFTON SPEC[B] + R-CROSS SCREEN フィルター使用

更に今度は3枚のフィルターを重ねてみた。

上の二枚組み合わせた写真の効果がさらに強くなり、より幻想的な雰囲気に仕上がる。

ちょっとやりすぎでぼやけた感じはするが、悪くは無い。ソフト感が増した分、クロスフィルターの効果は少なくなった。

フィルターを3枚重ねると非常に厚くなってしまうので、広角レンズでは周辺がけられてしまうので注意が必要だ。



変化がわかりやすくなるようGIF画像にしてみた。

写真の色が若干変化しているのは、撮影中の空の変化によるもの。

撮影中、若干のうす雲が通過した。

今度はレンズを変えて、180mmの望遠で南十字星を撮影。露出はそれぞれ開放f2.8、露出時間は同様の3分を与えた。



現行レンズではなくなってしまった AF Nikkor 180mmf2.8


上がテストに使用した180mmレンズ、開放近くでは色収差が若干残り、最近の70-200mmf2.8クラスに劣るものの、抜けが良いレンズ。古いデザインのレンズだが、ちょっと前まで現行販売されていた。


購入はもちろん中古だが、管理人が中野をうろついていた時、値段の安さで思わず衝動買いした代物。

上がテストに使用した180mmレンズ、開放近くでは色収差が若干残り、最近の70-200mmf2.8クラスに劣るものの、抜けが良いレンズ。



フィルター無しと、R-CROSS SCREEとPRO SOFTON-Aを組み合わせたものだけを比較してみた。それぞれ露出は3分で開放である。

フィルター未使用


お分かりだろうか、画面中央に大きく南十字星が写っている。

肉眼でははっきりと明るく見える南十時星であるが、無数の微光星にうずもれてしまい、わかりずらくパッとしない。

レンズが高性能になりシャープであればあるほど明るい星もより点像に近くなり、微光星の中にさらにうずもれてしまう。点像に近くなればなるほど星の色も判らなくなっていく。




下がフィルターを装着して全く同じ領域を撮影したもの。

PRO SOFTON-A(W) + R-CROSS SCREENフィルター使用


同じカメラとレンズ、同じ撮影条件にクロスフィルターPRO SOFTON-A(W)を装着するだけで、こんなに星座が浮き立って良く写るのである。

思わずハッとするような星の輝きと、美しさが表現された。

探すまでも無く、南十字星の姿が目に留まり、とてもフィルター無しの写真と同じ条件で撮影したとは思えない仕上がりである。

星の微妙な色の違いまでより分かりやすくなった。

標準の焦点距離35mmで撮影した写真と比べると、180mmの望遠では、同じフィルターを使っているのにもかかわらず、フィルターの効果はより大きくなった。

ソフトフィルター、クロスフィルターの効果は焦点距離が長くなるほど大きくなるようである。



こちらもGIF画像にして、フィルターの効果を分かりやすくしてみた。


変化をGIF画像にして分かりやすくした

今回比べてみて星野写真を撮るのに、管理人の一番のお気に入りのフィルターはPRO SOFTON-A(W) と R-CROSS SCREENフィルターの組み合わせだった。


星の明るさや輝きがより美しく表現出来る上、暗い星までつぶれないで写ってくれる。

しかしながらフィルターを組み合わせて撮影するので、広角レンズではケラレが発生してしまうという欠点がある。


今回35mmを使用したのは3枚重ねてケラレなかったからである。

もっと広角でもけられが発生しないよう、1枚でこの2枚を組み合わせたのと同様な効果を持ったフィルターが出てくれたらいいなと思った。


ソフトフィルターや、クロスフィルターを使って星野写真を撮ってみたら如何でしょうか。

他にも、多くの種類の星野写真に使えそうなフィルターがケンコートキナー社から発売されているので、色々と試してみたら楽しそうです。


個人的にはスノークロスや、サニークロスフィルターで星空を撮てみたいなと思っています。

三脚とデジタルカメラがあれば誰にでも簡単に撮影できるようになった星空の写真。

まだ、撮影した事が無いという方も是非試してみてはいかがでしょうか。

レンズを通して、星空、宇宙への興味が沸いてくるかもしれません。

動画を再生するには、公開後のサイトにアクセスしてください

記事を最後までご覧頂きありがとうございました。


ご興味のある方は右の動画もどうぞ。

ケニアで撮影した星空、星雲、星団をケニアの人々にも星の世界に興味を持ってもらおうと12分ほどの動画にまとめたものです。


説明文は英語になります。



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