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岩本貴志の勝手気まま、ブログ

  • 岩本貴志

ニコン、50mm f1.2 レビュー、 とろけるボケ味と深い味わい、写真を撮るのが楽しくなるレンズ

最終更新: 11月9日



最近発売されるレンズのシャープさ、切れの良さには心底驚かされる。

良いものは値段も良くて、なかなか手が出せないのだけれども。

風景など、高解像度のカメラと組み合わせて撮れば、驚くほど細かいところまで写ってくれるのでなんとも爽快だ。


ただ撮るものによっては何か物足りなさを感じる事がよくあるのである。

「何か味気ない、なんだろう?」 特に人物などを撮るとその味気なさを感じる。

とにかくシャープで、ボケも周辺までまん丸でエッジも柔らかく申し分がない、逆光にも強い。だけれどもドライで温かみを感じないのである。


新レンズには多くの新技術が導入され、いろいろな収差がものすごく少なくなっている。その事が影響しているのかもしれない。

今まで程よく残ってくれていた様々な収差が、実際はレンズの味わいとして、撮る写真にある種の特殊フィルター効果を加え、写真に一層の味わいを加えていたのだろう。

これが、いわゆる「レンズの味」といわれているものなのだろう。


管理人の最も好きなレンズ、ニコン50mmf1.2


ここで管理人の使っている中で特にお気に入りのレンズを1本紹介する。


第二段があるかは不明だが、まず第一弾として、ニコンのマニュアルの50mm標準レンズ、Ai Nikkor 50mmf1.2s。


このレンズは、管理人が本格的に写真撮影を始めようと志した大昔、25年以上前に購入したレンズである。


一旦売り払ってしまって、買い戻したものではあるが。理由は、保管中の不注意でレンズ内に曇りが発生、清掃修理に2万円以上かかるというのが理由。


ちなみに最初に購入したレンズは、AF Micro Nikkor 105mm f2.8s で、ニコンF4sと同時に購入した。

2本目はシグマAF28mmf1.8

学生の身分で非常に高い買い物だったが、がんばってバイトで稼いだお金をつぎ込んで購入した。


一旦売り払った時、同じものを買い直すのは癪だったので、一旦AF50mmf1.4sにしばらく乗り換えた。


でも、このAF50mm f1.4s、線は太く逆光に弱くフレアもすぐに出る、作りもプラプラしていて、星を撮っても星像はボテッと切れ味が無く、どうしても好きになれなかった。


という事で、結局、50mmf1.2s を再び買い戻す事になった。もちろん中古品であるが。

今使っているのはその中古で購入した2代目にあたる。




実写性能


開放のf1.2だとさすがにフワッとぼやけたようになるけれど、ピントに芯が残り、ちょっとしたフォギーレンズのような効果が出る。また、フィルター径が52mmと小さく口径食の影響で開放だと周辺部の光量の落ちが若干激しい、それもまた写真にスパイスを効かせてくれる。

下の写真は開放で撮ったものだが、色の渋さとあいまって、適度な収差が残り、今時の出来過ぎ君レンズには無いなんともいえない雰囲気をかもし出す。


ピント面が非常に浅いので、ピント合わせにはプロ機精度のファインダーが必要だ。

最近のカメラであれば液晶で合わせれば確実だ。そもそもミラーレスだったらそんな心配も要らないが。


f/1.2 開放で撮影、漁師のボート(サントメ・プリンシペ)


f1.4に開放から半絞り絞るだけで、画面全体に締りが出てきて雰囲気ががらりと変わる。

f2まで絞ると全体がかなりシャープになってくる。


絞りf2f2.8と比べ、より大きなきなボケが発生して被写体をより浮かび上がらせるので、写真の印象はまるっきり変わってくる。

一般的な明るい高級ズームはf2.8なので、f2で撮れるというだけでこのレンズを使う価値を感じる。


今時の明るいレンズと違って非常にコンパクトなので、カメラバッグに忍ばせていてもそれほど苦にならない。

重量360グラムと最新のシグマ50mmf1.4815グラムと比べても半分以下。

同じ明るさのキャノンのAF50mmf1.2580グラム

更に重量以上に密度が高くコンパクトに感じる。

ピント合わせテクニックは必要になるが、ポートレート撮影などで、強い助人となってくれる事は間違いなしだ。

ここ一番の写真を撮りたい時、じっくりと撮れる時には最近の仕事でも、このレンズを結構使う。


絞りf/2.8でのポートレート、西アフリカの孤島、サントメ・プリンシペの少女


これぐらいのポートレート、絞りはf/2.8ぐらいがちょうどいい。

星空でもf/2.8に絞れば十分使える、シリウスの青いハロが美しい


上の写真は50mmオリオン座に向けて撮影したもの、f2.8まで絞っての撮影、星像は画面の周辺まで点状に像をを結び、青いシリウスリゲルの輝きの周りには美しいハロが広がった。

この星の周辺にボヤッと広がるハロ、多少の収差が残っているがために現われるレンズの味わいの一つ。

もちろん最近の出来過ぎ君レンズのシャープさには及ばないが、中心部だけだったら結構健闘出来そうだ。



下に掲載した写真は天の川中心部分を、上と同様f2.8に絞って撮ったもの。

星野写真にどれぐらい使えるかどうかは、周辺部の星像が気になるところ。

下に中心部に加え周辺部のピクセル等倍写真を掲載した。


f2.8、露出3分


星の密度が最も高く周辺減光が分かりやすい領域。フルサイズでの撮影。

こちらも絞りはf2.8、露出は3分


上のオリオン座の写真よりも周辺光量の落ち込みが分かりやすい。画面の四隅、端の部分、急激に暗くなっている。ビネットコントロールなどの補正は使っていない。



画面中心部ピクセル等倍

上の写真の中心部をピクセル等倍で出したもの。星像はシャープでコントラストも高くレンズの優秀さがうかがえる。使用しているD800Eは3600万画素。

程よい収差が、星星の明るさの違いと色の違いを表現してくれている。




フルサイズ右上端、ピクセル等倍



最周辺部は流石に大きなサジタルコマ収差が発生。特殊低分散ガラスなど使っていないのに色収差は殆ど見られない。右上の方向にツバメの群れが飛んでいっているような模様だ。



APSサイズ左下端、ピクセル等倍 2400万画素相当


同写真、APSサイズ画面左下端のピクセル等倍にして切り出した、サジタルコマ収差は殆ど発生せず画面全体が非常にシャープだ。

フルサイズ画面の端の端の部分だけを除けば、最近のレンズと比べても殆ど遜色の無い力を秘めたレンズだという事が分かる。APSサイズであれば画面全域にわたり文句なしにシャープだ。


発色に関しては、最近のレンズと比べると青く冷たい発色をするので、新しいレンズと一緒に使う時は注意が必要だ。厳密に撮るのであればホワイトバランスを合わせ直す必要があるだろう。


これは一昔前、マニュアル時代のニコンカラー、管理人の好みの発色。このレンズと最近のレンズを同条件で撮り比べてみると、最近のレンズはすごく黄色く淡く感じる。

実際は新しいレンズのほうがニュートラルの発色なのだろうが。

この50mmレンズの発色が非常にクールで、コントラストが強く出るという事だろう。

管理人は最近のレンズの発色よりも、この渋くクールな発色が好きなのだ。


写真は見たまんまの発色よりも、多少味付けしたほうが味わい深くなったりする。



D3に50mmf1.2と取り付けた様子


ニコンD3との組み合わせでこのレンズで撮るのが非常に楽しい。

D3との相性が良いようで、深いボケ実とともに味わい深く写ってくれる。

D3はスクリーンが優秀で非常に見やすく、ピントの山もつかみやすいのでピントがバシバシと決まる。

D3のスクリーン内に液晶が入っていないのも大きいのだろう。

液晶の入ったD800Eだと殆どマニュアルでのピント合わせが決まらない。

スクリーンのピント面も厳密に精度が出ていないのも原因のようだ。

(D850は今のところ精度が出ているようで、開放でピントが決まるようになった。)


マニュアルレンズでピントを合わせをするにはスクリーンの性能は非常に重要になってくる。最近は殆ど見かけないが、昔のフィルムマニュアルカメラのようにスプリットイメージや、マイクロイメージがあればピントあわせはより確実になるだろうが。

ただミラーレスや、液晶で拡大したりすれば、その必要も無いだろう。

フォーカスリングに関しては、

古いマニュアルレンズの殆どがそうであるように、このレンズも同様にフォーカスリングの動きがしっとり滑らかに動いてくれるので、動画、写真を問わずマニュアルでのピント合わせをスムーズに行なう事が出来る。

リングの操作音も全くといっていいほど発生しないので、動画でも安心して使える。

絞りリングが付いているので、絞りの調節は、指の感覚で素早く直感的に操作する事が出来る。この操作、慣れると絞り値の数字を見なくても思った数字を素早く設定出来るようになる。

開放から半段、一段二段三段、1.2、1.4ー2ー2.8-4といった具合。露出計に表示される絞り値を確認しながらダイヤルをぐりぐりするのとは段違いの操作のしやすさである。


慣れてくると撮影時に設定したい絞り値に指が自然に動くようになってくる。


最後に、特に好感を感じる点はレンズの作りこみと仕上げの良さ

全てのニコンAiマニュアルレンズがそうであるように、しっかりと高い精度で作られた金属ボディ、フォーカスリングの程よいストロークとしっとりとした滑らかな動き。距離目盛、絞り値そして型番とシリアル番号、全て掘り込みの上に見やすく色分けされた塗装、など等である。


本体の黒い塗装に関しても長年使っていてもなかなか剥げない、非常に高品質の塗装がされている。


極限まで口径を大きくしてある後玉

このニコン50mmf1.2は道具として十分な性能を持ちながら、物として、職人気質を感じる工芸品のような魅力を秘めた逸品のレンズだと思う。


f1.2にするための工夫、上の写真を見ていただければ解かる通り、後端のレンズが物理的限界まで可能な限り大きくしてある。後玉レンズを囲う金属部品、1mmにも満たないその薄さ!よくも製品化させたと関心してしまう。(左下のつめは、シグマSD15で使うため削ってある。)

そしてこのレンズは現行品として今だに購入出来る状態、買う事は無くとも、こういった逸品が今でも生産されている事にうれしさを感じる。

もし量販店などでカメラのレンズを見る機会があったら、ぜひともこの50mm f/1.2を手にとってみてほしい。

新しいレンズでは感じられないずっしりとした魅力を感じる事が出来るだろう。

50mmという焦点距離、対角45度の標準レンズというだけあって、被写体を自然な感じで表現してくれる。主要被写体と背景そして手前と遠近感がちょうどいい。

絞りの選択範囲がf1.2からと広く、その絞り値によって写真の雰囲気はがらっと変化する。


表現の幅はf2.8の標準ズームレンズよりも大きく感じる。


管理人自身撮影に出かける時、もって出るレンズ、AF24-70mmf2.8のズームにするかこの50mmf1.2にするかよく迷う事がある。


短焦点のマニュアルフォーカス、オートフォーカスのズームレンズと比べると撮影時の集中力がまるっきり違う。

撮影する前から、強いイメージが浮かんで来る上、レンズの明るさも相まって撮れる写真の結果も良くなる事が多い。



写真撮影で最も基本的な操作の「ピント合わせ」、今ではほとんどが自動化されオートフォーカスにまかせっきり。

誰もが簡単にピントの合ったシャープな写真を撮る事が出来る時代。


バシバシピントが合った写真が量産出来るのは爽快なのは否定出来ないが、どうも味気なく、撮る事に対してあまり面白味も感じない。

そんな誰もが簡単に出来る事に、やりがいを感じる事は出来ないだろう。

やっても面白みは半減だろう。


もし写真をより楽しみたいのであれば、いったん原点に戻ってマニュアルレンズで自分でファインダーをのぞいて指先でピント合わせて写真を撮ってみる事をオススメする。


オート任せでは見えていなかった被写体の細かな表情が見えてきたり、新しい写真のイメージが湧いてくるかもしれない。

逆にオートフォーカスモードやら、フォーカスエリアやらから開放されて、AFよりもMFのほうが自由自在にピントがコントロールできる事に爽快さを感じることすらもある。


一枚一枚じっくりとシャッターを切る事によって、写真の一枚の重み、そして撮影する楽しさもより一層感じられる事だろう。




この、「岩本貴志の勝手気ままブログ」全く更新もせず月日ばかりが流れてしまいました。とりあえず何かを書かなければと今回その何かを書き始め、書いてみるとこんな文章が出来上がりました。


これを機会に今まで使用したカメラ機材や、車、そのほか何でも、自分勝手な視線で、それぞれのうんちくを横道にそれながらも語っていければと思っております。他にも、頭の中ではいろいろな構想は浮かんできているので、今後形に出来れば良いなと思っております。


2020年5月、大きく加筆修正、写真を添付しました。

しばらくD800Eをメインとして使っていましたが、今年からD850にメインのバトンを引き渡そうとしているところです。


このブログに記載されている内容は全て管理人の独断と偏見であり、真実とかけ離れている事も多々ある事をご了承下さい。

そんな風に感じる人もいるんだな!、こんな変人もいるんだな!といった具合で見てくれるのがちょうどいいと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございました。



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