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岩本貴志の勝手気まま、ブログ

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サンニッパで惑星撮影!その3、大接近した火星、撮影方法詳細

最終更新: 10月29日

今回はカイツブリはお休みしまして、カメラ用の望遠レンズで強拡大して惑星を撮影する方法についてもご紹介します。


去る2018年7月31日、火星が地球に大接近。

2003年以来の大接近となった。

という事でこのチャンスを逃すまいと、管理人も火星の撮影に挑戦した。

今回も以前ブログで取り上げたのと同じ、写真用の望遠レンズ、300mmの後ろに望遠鏡用のアイピースを装着。

カメラはマイクロフォーサーズ、パナソニック社製のDMW-GH4を使用した。

2003年以来の大接近した火星、距離はおよそ5800万キロ 8月1日1時頃

なぜ望遠鏡を使わず望遠レンズでの撮影かというと、手元に無いだけの話。

手元にある機材で、最善を尽くしての撮影だ。

あるもので何かしようとするのは、楽しいもの。

300mmf2.8のレンズは口径107mmの望遠鏡という事も出来る。

目的は違えど、望遠鏡も望遠レンズも仕組みは一緒。

望遠レンズの口径を求めるには、焦点距離をF値で割れば簡単に算出出来る、

サンニッパの口径は

300 (mm)÷2.8(f)=107(mm) 107mmという事。

口径107mm、焦点距離300mmの望遠鏡という事が出来る。

どんなカメラレンズでも望遠鏡として使えるわけではないのである。

最近のレンズの多くはカメラ本体から電源供給されないと、ピントすら合わせられない。これは致命的。また、ミラーレス向けに設計されたレンズはフランジバックが短すぎるので望遠鏡としてはピントが合わない。


望遠レンズを望遠鏡として使える条件をまとめると

1、レンズ単体でフォーカスが機械的に調節出来るもの

2、十分なフランジバックがあるもの、(ミラーレス用レンズは、ほぼ不可)

3、絞り値を自由に設定出来るもの、(別に無くてもいいが、あれば最もシャープに写る絞り値が選定出来る。)

こう見てみると、最近のレンズの多くは望遠鏡にして遊んだりする事はほとんど出来ない事が解ってちょっと残念だ。

最近のレンズはなにか、「こんな事をしてはいけません!」「規定通りに使用しなければなりません!」と、なんでもかんでも禁止されているような雰囲気もかもし出している。

レンズ自身も「こんな使い方されるとは聞いていないよ!」と使用者に向かって反抗しているようで、決められた事はすこぶる出来るけれど応用が全く利かず遊びがいがあまり無いように思えてくる。

それに対して、古いレンズは制約が少なく、ちょっとのろいが性格は非常に寛容で、使用者に対して反抗せず、応用が利くので、いろいろと遊びがいがある。

その中でも一昔前のニコンの絞りリングの付いたオートフォーカスレンズ等は、遊びも仕事も何でもこなす万能選手である。

今回使用した300mmf2.8は20年近く前のもので、オートフォーカスに超音波モーターを内蔵したニコンでは初代のモデル。

フォーカスリングは機械式で電源供給が無くともピント合わせが出来る上、絞りリングが付いているので、絞りの設定も自由自在。

その上超音波モーター内臓で素早いオートフォーカスを実現、野鳥等の撮影でも十分使える。手振れ補正は無いが、逆に言えば全てのレンズが光軸上にしっかりと固定されているので、車の振動やらで軸が狂ったり、壊れたりする心配が非常に少なく、信頼性が非常に高い。



AF-S Nikkor 300mm 1:2.8 D

今回使用した300mmf2.8、オートフォーカスの精度的には最近のものよりも若干劣るにせよ、手放せない一本。

という事で、今回この300mmf2.8望遠レンズを望遠鏡として使用した。

さて、遠くの惑星を撮影するとなると、レンズ単体では300mmと焦点距離は惑星を撮るのには短すぎる。

2倍のテレコンバーターを付けたところで、たかが知れている。

それでは、いちばん大きく見える木星ですら点状にしか写らない。

ガリレオ衛星は何とかちっちゃーく写るかな?

そこで登場するのが、望遠鏡のアイピース。このアイピースをレンズとカメラの間に挟みこむのである。

いわゆるコリメート法という強拡大する方法。

よく双眼鏡の後ろにデジカメをくっつけて撮るあれと同様である。

今回は6mmのビクセン社製アイピース(Vixen NPL 6mm)を使用した。


この中にアイピースを取り付けカメラとレンズを接続

アイピースはカメラレンズに直接取り付ける事は出来ないのでレンズとカメラの間にアイピースを装着するために、アダプターを使う事になる。

カメラのマウントにアダプターを装着するために、レンズのリアキャップの中心部分に直径36.4mmの穴をくり抜きアダプターを取り付けている。

穴をぴったりにくり抜けば、そのままねじ込み式で取り付けられるようになるので便利だ。

このアダプターは昔々、管理人が高校生の時に購入したもの。30年以上も前の大昔だ。

アダプターをばらすとこんな感じ

写真左端の部品から順にレンズから取り付く事になる。

左端が突貫工事でレンズリアキャップをくりぬいたアダプター。

上の写真ではアイピースが20mmだが、高拡大のため今回の撮影では6mmのアイピースを使用。

カメラはパナソニックのGH4なので、更にニコン、マイクロフォーサーズアダプター使用している。

部品点数が多く、何か合体ロボットを作っているようで楽しい。


このシステムを組む事によって、望遠レンズを元に強拡大して撮影する事が出来るようになる。

このシステムで撮影出来る合成焦点距離は以下の式で求める事が出来る。

合成焦点距離 = レンズの焦点距離 × (アイピースからカメラセンサーまでの距離 ÷ アイピースの焦点距離 - 1)

今回のシステムの合成焦点距離を計算してみると、

アイピースからカメラのセンサー面までは120 mmほどなので、

300 x(120÷6-1)=5,700(mm)

合計焦点距離は5,700 mmの超超望遠となる。


ちなみに上の写真の20mmのアイピースを使用してみると、

300 x (120÷20-1)= 1,500 (mm)

となり、惑星撮影には物足りない。

この焦点距離は35 mmフルサイズでの焦点距離なので、実際に出力される視野はまだまだずっと狭くなる。

今回の使用カメラはパナソニック GH4 でマイクロフォーサーズ。

マイクロフォーサーズの範囲だと、焦点距離比率で35 mm版の2倍になるので、

5,700 x 2 = 11,400 mm相当という事になる。


更に4 K(3820 x 2160)画像をSD(640 x 480)画像にクロップするので。

最終的な出力画像の視野の範囲は、

11,400 x 3,820/640 ≒ 68,000 (mm)


今回のシステム、35mmフルサイズで換算すると68,000 mmととんでもない超超超望遠という事になる。


下の写真が今回管理人が使用した惑星撮影のための超超超望遠、撮影システム。


接続は単なる自由雲台。

微動が出来ない自由雲台で11,400 mmという超超超望遠の視野に惑星を入れるのは至難の業、かがんだ姿勢でものすごく肩のこる作業だ。


惑星の姿を視野の端にやっと入れる事が出来たものの、欲張って視野の真ん中に入れようとして、再び振り出しに戻ってしまう事も多々発生。


カメラ上部に付けているファインダーは、今回のような超超望遠撮影には欠かせない。


さらに、赤道儀を使用しないと、やっとの事で視野に入れた強拡大した惑星はあっという間に視野の外に出て行ってしまうという事で赤道儀は必需品。

今回は赤道儀としてケンコートキナー社製のスカイメモTを使用。

対加重など完全に無視したシステムだったが、スカイメモはしっかりと追尾してくれた。

管理人使用の惑星撮影システム、赤道儀にはケンコー社製スカイメモ T使用



以前紹介したが、最近の惑星撮影は動画で撮影し、像が安定している画像だけを何枚も合成して写真に仕上げるのが主流、管理人も例に漏れず同じように撮影した。

撮影後の画像編集にはRegistax 6というフリーソフトを使用して合成した。

ほとんどの処理を自動にやってくれるので非常に手間が省ける。

いちばん上に載せた火星の写真は、GH4の4k動画で90秒撮影したものをSD(640x480)にクロップして合成。レンズの絞りは最もシャープに見えた一絞り絞ったf4で撮影している。

さらに上記方法で合成した3枚の写真を再びコンポジットして、なるべく模様が分かりやすいように仕上げたもの。

合成した写真、かなりな強調処理してあるので、火星の極冠や模様がはっきりと確認出来るが、実際肉眼で見るとここまで模様は濃くは見えない。

上の撮影システムの写真を現像して気づいたのだが、カメラがけっこう下にたわんでいる。

収差の原因にもなるだろうから、次回はたわまないよう工夫して撮ってみようと思う。

今回シーイング、大気の状態はそこそこ、良かったわけではなく、惑星の画像もゆらゆらと揺れていた状態。

仕上がりが実際に見えた以上、思った以上に、細部まで出てくれたので、びっくりしたしだいである。

条件が良ければ、惑星の表面がもっと細部まで写るはず。

再度撮影にチャレンジしようと思う。

今の時期、火星だけでなく、空には月を含め多くの惑星が並ぶ非常にゴージャスな夜。

さらに、日の入り直後まで遡ると、西の空には水星、そして金星の姿も。

惑星の座から準惑星に格下げになって久しい冥王星も土星と火星の間にあるのだが、とてもとても小さく暗いので、もちろん見る事は出来ない。


7月23日21時ごろ、夜空には贅沢な惑星たちが並んだ


次回火星の接近は2年2ヵ月後の2020年10月

この接近でもけっこう大きく見られるのだ、直径で比べると今回の9割ほどの大きさ。

それからその次の大接近は2035年、この時は今回よりもちょっと大きな姿を見せてくれる事になる。

これからしばらく火星は地球から少しずつ遠ざかっていくが、そのスピードはゆっくりしたもの。

火星よりも公転スピードの早い地球が火星を追い越し、火星を後ろに見ていく形。

だから、まだまだの間は赤く輝く火星の姿を楽しむ事が出来る。

さてさて今回の大接近、火星の大きさを500円玉に例えるとどれぐらいだろう?という事で身近なもので比べてみると、直径6,800キロほどの火星が、5800万キロの距離にある。

この比率を直径22.6mmの500円玉に換算すると、距離は190メートルほど先という事になる。

それはちょうど10両編成の中央線、10両編成という事が重要、いちばん後部の車掌さんから見て、先頭車の真ん中にある側灯あたりという事になる。(一両20メートルの十両編成、車掌さんのいる最後尾車両の端から見ると、先頭車両の側灯の位置がぴったり190メートル)

側灯は扉が完全に閉まった事、安全を確認するための赤いライト。

車両ごと、扉が開いている間は点灯し、扉が完全に閉じると消灯する仕組みで、車掌さんは全ての明かりが消えた事を確認し、運転手さんに出発の合図を送る。

ちょうど赤いし、サイズも500円玉とほぼ同じ大きさ。


車掌さんのところまでいって先頭車の側灯を見てみれば、ちょうど火星が大接近した時の大きさにほぼ等しい大きさに赤い側灯が光って見える事になる。

火星から見る地球といえば、青いビリヤードのボールを、車掌さんが持ってる感じ。


惑星の撮影となると拡大率を半端なく大きくしなければならないので簡単な撮影とはいきませんが、挑戦してみたらいかがでしょう。


最近では強拡大出来るレンズ付きのカメラも出てきており、手振れ補正と相まって惑星の姿も手軽に撮影出来るようですし、惑星など撮影するのに特化したシーモスセンサー等もあるので、以前と比べると非常に手軽に惑星の姿を撮影出来るようにもなってきています。

太陽の周りを地球と共に数十億年共に回ってきた惑星仲間たちの姿を、自分で撮影するのもなかなか乙なものです。


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