
岩本貴志
「都会のオオタカ、繁殖の記録」5、メスによる巣の下見のつづき
更新日:2022年2月15日
「都会に進出した猛禽、オオタカの物語」
このブログでは、2017年7月から2018年12月までの間、都会の公園の中、管理人の目の前で繰り広げられた野生のドラマ、オオタカの生き様を紹介しています。
一年以上前の事、オオタカの繁殖の支度について、「都会のオオタカ、繁殖の記録」4という記事の続きを当時を思い出しながら書こうと思います。
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11月の末、公園に最初にメスが頻繁に現われるようになった。
メスは、しばらくの間、次回の繁殖のための巣の場所を探しているようだ。
主に、探す時間帯は早朝。
森の中にいくつかあるカラスが昔使っていた巣を一つ一つ確認していく。
「どの場所がいちばんいいかな?」
最終的には去年繁殖に使用したのと同じ場所に決めたようだ。
巣の場所の選定には一から何も無い場所に巣を作るのではなく、カラスなどが以前にこしらえ使っていた巣を再び使うようだ。
土台が出来ているので、巣を完成させる労力が圧倒的に少なくて済み、経済的だ。
オオタカがどこで寝ているかは分からないが、早朝から見られる事から、この頃からこの公園をねぐらに使うようになったようだ。
と言う事は、この公園が繁殖第一候補地なのだろう。
メスが公園に現われるようになってから、しばらくオスの姿は見られなかったが、おそらくそう遠くないところでお互い認識しあっていたのであろう。
メスはたまに木の上から遠くに向かって鳴いていたので、こちらから見れないところにいるオスとコミュニケーションをとっていたようにみえる。

オス、メスお互い接近するようになってきた
この頃からオスも見られるようになり、オス、メスの鳴きかわしも近くで頻繁に行われるようになった。
おそらくペアリングも確定なのだろう。このオオタカペア、公園の地理など既に知っていたり人慣れもしているようなので、去年繁殖したのと同じペアなのだろう。
空を飛びながらメスはやってきたオスになにか伝えようとしているようだ。
「巣は去年と同じのあの場所に決めようと思うけど、去年よりもいい巣お願いするわ!」とでも言っているのだろうか。
時期は11月末、巣を作り始めるのにはちと早いが、早いうちに決められる事は決めておいたほうがお互い安心なのだろう。

この巣けっこうお気に入りなんだけれど
上の写真は、選ばれなかった巣であるがメスはけっこう気になっていたようである。
でも、「大きく育つ雛の事、それも2羽3羽、風雨を凌ぐ事、カラスからの撃退に備える事、貯食の場所等など考えるとちょっと無理だなー!」
でも気になっているようで、時々様子をうかがいに行くのであった。

「これは俺の巣だ!」とカラス
オオタカのいない隙にカラスも時々巣の様子を伺いにやってきた。過去を偲んでか、来年の巣場所の選定か?
カラス、「オオタカが近くにいては来年もここで繁殖するのは無理だなー」と思っているようである。

紅葉とオオタカ
日に日に、日も短くなり、寒さも増していくなか、メスは繁殖に備えて食に勤しみ日に日に体に脂肪を蓄えていくのであった。
この年は急激に冷え込むようになり、紅葉する前に落葉してしまう感じであった。
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つづく
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