- 岩本貴志
「カイツブリ観察日記」14、残された親鳥
最終更新: 2020年10月29日
このブログでは、東京都、井の頭公園のカイツブリという鳥に焦点を当てて、そこで見られた出来事を写真とともに管理人独自の視点で紹介しています。
8月13日、ひょうたん橋の巣に雛の姿が無い。
親鳥の背にも乗っていない、4羽の雛はついに全滅してしまった。

雛のために餌を捕まえるが、
親鳥は魚を捕っては巣へ運ぶが、そこに雛の姿はない。
雛が死んでしまった事実をまだ把握していないのか、それとも認めたくないのか?
愛情をもって接していた子がいなってしまい、親鳥の表情はとても悲しそうだ。
今朝方雛を目撃した人がいるので、まだやられて間もないかもしれない。
親鳥は最後の雛を大事に育てはじめた矢先の出来事で、非常に残念だ。
ここのつがいの一羽はあまり協力的でなく一度出かけたらなかなか戻らなかった。

そこに雛の姿は無い
残された親鳥も雛を残して狩りに出かけなければならず、雛はその間無防備、
巣で待っていれば安全なのにもかかわらず、親鳥を待ちきれなくなった雛は水面に降りてしまう。
そんな空きにカメにやられてしまったのかもしれない。
雛のいなくなった巣の周囲には、1匹のミシシッピアカミミガメがうろついていた。

独りぼっちになってしまった親鳥
その日の夜、全ての雛を失ってしまった親鳥は一人寂しく巣で過ごした。
相方もしばらく見ていない。
独りぼっちになってしまった。
それから3日後の8月16日、主を失い放置された巣は悲しげに雨に打たれていた。
そこにカイツブリの姿は無く、巣を蝕むカルガモの姿があった。
カイツブリの作った巣材の中に何か食べ物を探しているのだろう。

巣材を探るカルガモ
ここひょうたん橋のカイツブリは、巣を6月の終わりから作り始め、7月のはじめに4個の卵を産んだ。
卵は7月の終わりに全て無事に孵ったものの、日に日に数を減らし、最終的に全ての雛を失ってしまった。
他のカイツブリに負けず常に巣の修復を繰り返し、雨にも負けない頑丈な巣が維持されていた。
でも、親鳥は漁などで雛から目を離す時間が長く、その間に1羽また1羽と雛を失ってしまい、それが今回の失敗につながってしまったようだ。
今となっては全てが無駄となってしまったが、この苦い経験は次の繁殖に生かされる事だろう。
次回は七井橋のカイツブリを取り上げます。