- 岩本貴志
「カイツブリ観察日記」15、雨で沈んでしまった巣
最終更新: 2020年10月29日
このブログでは、東京都、井の頭公園のカイツブリという鳥に焦点を当てて、そこで見られた出来事を写真とともに管理人独自の視点で紹介しています。
8月16日、雨
七井橋のカイツブリの3羽の雛は全て無事に育っている。
前日から降りしきる雨で沈んでしまったか、流れたかして、巣は完全に無くなってしまっていた。

あるはずの巣が見つからない。途方にくれる3羽の雛
成長の悪い1羽は半分沈みかけてしまっている。
早く羽を乾かして温まらなければ。
降りしきる雨の中、巣が無くなってしまったので雛は水面に浮かんだままとても寒そうだ。
寒さをしのぐため、しきりに親鳥の羽の中に入ろうとする。

寒さをしのぐため親鳥におんぶをせがむ、乗るのは1羽ずつ順番

何とか3羽収まった
何とか3羽収ったけれどが、雛はすでに大きく収まりが悪い。
親鳥はモコモコだ。
うまく入りきれていない雛は、すぐにこぼれ落ちてしまう。
これではダメだと、親鳥は雛を振り払い、大急ぎで巣をこしらえた。

親鳥は巣が作れそうな場所を見極め、素早く巣を作った
前回作った巣のすぐ脇の枝に落ち葉などを乗せてあっという間に巣を作ってしまった。
どの場所が効率よく雛の避難出来る巣が作れるかすぐに見極めたようだ。
なかなか出来る親鳥だ。
ごく簡単なものだが、雛は何とか水面から上がって羽を乾かし羽づくろいも出来るようになった。
8月18日、くもり
3羽いた雛のうちの小さな1羽が見当たらない。
寒さでやられてしまったのか外敵にやられてしまったのかは分からない。
残るは2羽の雛だけになってしまった。
この七井橋のカイツブリは縄張りを大きく広げていた。
橋を渡った向かいに別カイツブリの家族もいたのだが、追い払ったようだ。
隣にいた2羽の雛は既に自分で餌を取り、行動範囲も大きく広げていたので、その親鳥も縄張りを死守せず譲り渡したのかもしれない。(このカイツブリは「カイツブリ観察日記5、6」で紹介しています。)
小さな雛を育てる親鳥は非常に強い。
親鳥の1羽は新しい縄張りを注意深く偵察、雛たちにはまだ新しい縄張りへは行かせない。
親鳥は周囲に外敵がいないのか、雛をつれてきても大丈夫なのか注意深く偵察しているようだ。
何か危険を察知しているのだろう。

アオダイショウが池を横断、親鳥は注意深く追い払った
岸辺を偵察していると、その近くからアオダイショウが姿を現し池を泳いで横断した。
親鳥は、雛に危ないぞ!と鳴きつづけた。
自由自在に泳ぎ、木にも登り、どこにでも隠れ潜んでしまう蛇は、小さな雛にとって大きな脅威だ。
一度藪に入ってしまうと見つけるのは至難だ。
日も暮れそろそろ寝床につく時間だが、急ごしらえした巣には戻ろうとせず別の塒を探している。
急ごしらえの巣には最近外敵の襲撃があったのか危険を感じているようで、雛を連れて戻りたくないようだ。

塒を求めて右往左往、なかなかいい塒が見つからない、暗くなっても何度も往復していた
外来種捕獲用の罠に付属する浮きが塒に使えそうだと気になるようで何度も登ろうとするが、なかなかうまくいかない。
浮きには網が付いていてそこに登ろうとする。
あきらめて他の場所を探すが、いい場所は見つからないようで、再び同じ浮きに戻ってくる。
そんな事を何度も繰り返しているうちにあたりは真っ暗になっていた。
つづく