- 岩本貴志
「カイツブリ観察日記」2、冷たい雨
最終更新: 2020年10月29日

降りしきる雨、じっと雨が止むのを待ちわびる親子
7月1日、一日置いて同じ場所を訪れてみると、4羽いた雛は2羽にまで減ってしまっていた。
朝から雨が降り始め、一時は雨脚も非常に強くなる。
そんな中、彼らは雨が止むのをじっと待っていた。
浮き巣は雨でさらに湿り、ほとんどが水没、前にも増して巣の役目をなしていない。
昨日まで3羽の雛が生きていたそうだ。
夜の間に外敵にやられてしまったのだろうか?
蛇だろうか?ゴイサギも雛を狙ってか、この巣の上の木の枝に止まっているところを観察された事もあるそうだ。

アオダイショウは人を恐れず常に池の周囲を徘徊しているようだ。
撮影中、人を怖がる事無く何度か目の前を通り過ぎていった。
雛にとって大きな脅威だ。
池の周囲を徘徊するギャング、アオダイショウ
雛たちは常に天敵からの危険に身をさらされている。
観察を開始してから1日1羽のペースで数を減らしていく雛。

ずぶ濡れになって、沈みかける雛
降りしきる雨の中、一羽の雛は羽毛をずぶ濡れにし、沈みかけていた。
何度も親鳥の羽に登ろうとチャレンジするも、どうしても登れない。
親鳥はどうしていいのかわからないようで、雛が羽に登れるよう協力するそぶりを全く見せない。
雛が羽に登ろうとする度に、親鳥の体はむなしく水面を滑っていく。
このままでは雛は体温低下で死んでしまう。もう一羽いる雛は親鳥の羽の中で難を逃れ、ぐっすり眠っているようだ。

餌を食べるも体温が奪われ、体力が失われていく
食欲はまだある、運んできてもらった餌は食べていた。
しかしながら僕が目を離した隙に、沈みかけていた雛はどこかへ消えてしまった。
沈んでしまったのだろうか?敵に襲われてしまったのだろうか?
いずれにせよ、非常に残念だ。
親鳥の羽に登る事さえ出来れば、この雛は育っていく事が出来ただろうに。

最後に残った雛に餌を運ぶ親鳥

雨が止んでも羽の上から降りたがらない雛、左目が開ききらないのが分かる
雨は昼過ぎに止んだ。
最後まで生き残る事が出来た雛は、観察を開始してから4羽いた雛の中でも最も食が細く、さらに左目も開かない。
成鳥になる事が出来たとしても野生で生きていくのは難しそうだ。
でも、とにかく生きてほしい。
つづく