- 岩本貴志
「カイツブリ観察日記」18、2羽の雛は
最終更新: 2020年10月29日
このブログでは、東京都、井の頭公園のカイツブリという鳥に焦点を当てて、そこで見られた出来事を写真とともに管理人独自の視点で紹介しています。

久々に井の頭公園に現れたバン、9月12日朝
カイツブリの観察を始めてから一度も見る事の無かったバンがどこからか井の頭公園へやってきた。
おそらく夜のうちにやってきたのだろう。
ここの環境の状況を把握していないバンは、羽づくろいを終え、あたりを注意深く警戒しながら池の散策に出かけた。
井の頭公園から姿を消したカイツブリたちもどこかの池にひょっこりこんな形で現れるのだろう。
以前この七井橋近辺にいた2羽の雛とその親鳥は縄張りを追い出されて10日ほどしてから雛が姿を消し、そして親鳥もその後姿を消した。
アオコの発生などで水の透明度が落ちて、漁がしづらく、うるさい隣人からも一刻も早く逃れたかったのかもしれない。
新天地を求めて飛び去ったのだろう。
それにしても、あの小さな羽で遠くに飛んでいけるのは驚きである。
この冬再びかいぼりをするそうなので、水鳥たちにとっては波乱の冬になりそうだ。
池の水が無くなってしまうので、その間みんなどこかへ避難しなければならない。

縄張りを追い出され姿を消した前七井橋カイツブリ家族 、ガマ藪にて7月30日
前七井橋カイツブリは家族の絆が非常に強い家族だった。
兄弟いつも一緒で、雛が写真のように大きくなるまで家族4羽揃う事も少なくなかった。
ガマ藪で昼寝の時間、親鳥は警戒を怠らず、ぐっすりと眠った雛を前に薄目を開けて常に周りの様子を警戒を怠らない。
それに引き換え、縄張りを奪った新しい七井橋家族、夫婦仲、兄弟仲も良くない様だ。
兄弟たまには一緒になるものの、ほとんど単独行動。
親鳥もどこかへ行ってしまい、帰ってくると雛をあちこち探して歩いて(泳いで)いる。
塒に家族揃う事などほとんど見られない。
夫婦別居生活で、子供をそれぞれ別々に育児しているようにもみえる。

親鳥は子離れを促す行動を始めた
雛が成長し、親鳥の3/4ぐらいのサイズになってくると親鳥は雛が甘えないよう、子離れを促す行動を開始する。
雛はまだ親にえさをもらっているのだが、もらったえさを飲み込むと同時に親鳥は雛の首の付け根めがけて突進して攻撃する。
雛は驚き逃げるしかない。
今まで見たどのカイツブリも、雛がこれぐらいの大きさになると同じ行動を見せていた。
これが遊びの一種と考えたここの雛の一羽は、親をまね親に向かって同じ行動をした。
親鳥もこれにはびっくり。

親離れの攻撃の動作を遊びと思ったのか、雛が親鳥に向かって突進した
撮影時、親が子をいつものように攻撃していると思いきや、よくよく見ると攻撃している方は雛だった。
親鳥はしばらく「アレ?」てな感じでキョトンとしていた。
この雛は、今度は兄弟に向かって同じ動作を始めた。
やるほうは遊びのつもりだろうが、やられるほうはたまったものではない。
親鳥につつかれ(えさがもらえるのでまだしも)、兄弟にまで攻撃されるようになってしまった。
この後この雛は、単独で池を泳いでいる事が多くなった。

攻撃の矛先を兄弟に、親鳥は何を思っているのだろう
夫婦が強調し合わず別々に行動していると、その子も兄弟同士、行動を共にしなくなってしまうようだ。
仲のよかった前七井橋家族、兄弟仲よく観察される時はいつも一緒だった。
鳥の性格は、その生活環境や、両親のしつけによっても変化するようだ。
そのしつけも上手く生き残れば、生きるための性質として継承されていくのだろう。
つづく