- 岩本貴志
「続、カイツブリ観察日記」5、カルガモのヒナたち
最終更新: 2020年11月13日
このブログでは、2018年に東京、井の頭公園で繁殖したカイツブリの子育ての様子を、写真と共に紹介しています。

新たに池の仲間に加わった7羽のカルガモのヒナたち
井の頭公園の池に新たな仲間が加わりました。
7羽のカルガモの雛です。
ちょっとしたドラマがあったので、今回はカルガモ目線でお伝えします。
■
つい数日前、井の頭の池に姿を現したカルガモ親子。
どこかで人知れずに育ったのだろう。

人知れず藪の中でひっそり育ったヒナ、既に泳ぎは達者
最初にヒナを開けた池に連れ出す親鳥はどんな心境なのかな?
7羽のヒナを引き連れたカルガモは、はじめのうちは小さなエリア、池のあちこちを行ったり来たり、様子を見ながら少しずつ行動範囲を広げていく。
この日は、池の端、ひょうたん橋の近くまで遠征に出かけた。
カルガモ親子はカイツブリの巣がある事に全く気づかずに近づ、どんどんカイツブリの巣に近づいていく。

気づくとカイツブリの巣が目の前に、右下にカイツブリの巣
抱卵中のカイツブリは近づいてくる侵入者に対して、完全な臨戦態勢を整えていた。
既に卵は巣材で覆い隠し、水中へ潜って攻撃する準備を整えている。
カルガモの親子が、卵を遅いに来た侵入者として認識したのだろう。
カルガモの親はカイツブリの動き異変に多少気づいたようだが、引き返す事はせず、何気なく通り過ぎる道を選んだ。
カイツブリが本気で攻撃を仕掛けてくるとは思っていなかったのだろう。
カルガモは、「カイツブリが本気で攻撃してきそうだ!」と異変に気付くが、時既に遅し。
何とか、岸ぎりぎりのところを急いで通り過ぎようとするが、そこに水中からカイツブリの攻撃が始まった。
カイツブリ、「巣に近づくものは誰とて許さん!出て行け!」「あちゃっ!アチャッ!」
別にカイツブリの卵を襲おうとは毛頭考えていないカルガモ親子、カイツブリの攻撃を何とかやり過ごし、ヒナとともに急いでカイツブリの巣から遠ざかった。
カルガモは、難を逃れたかと思いきや、1羽のヒナがはぐれてしまった。
取り残された1羽のヒナは運悪くカイツブリの巣の近く、声は聞こえるが姿が見えない。
親鳥は6羽のヒナをひき連れて、ヒナの声を頼りにカイツブリの巣の近くに取り残されたヒナの救出に向かう。
が、その時!

「バシャ!!!」と、突然カルガモの体が水中に引きずりこまれた!
突然「バッシャ!!!」とカルガモの体が水中に引きずりこまれた。
ものすごい力で水中に引きずり込まれていく。
巣を守ろうとするカイツブリの攻撃だ!
親鳥は慌てふためき羽をバタバタするが、体は完全に水中へ。
それにしても子を守ろうとするカイツブリの力、優に倍以上あろうかと思うカルガモを水中に引きずり込んでしまうとは、恐れ入った。
驚いた6羽の雛たちは、何が起こったかもわからず大慌て、急いで遠くへ逃げて様子を伺う。

6羽のヒナを避難させ、残された1羽のヒナの救出に向かう親鳥
今度は6羽のヒナを避難させ、水中からの攻撃をかわすため、空からヒナの救出に向かう。
着水するとすぐにカイツブリの攻撃、

カイツブリの攻撃は激しく、ヒナをなかなか救出出来ない。
取り残されたヒナはまだ、カイツブリの巣の近く。
親鳥は、何とかヒナを救出しようとするが、どうしてもカイツブリに追い出されてしまう。
騒ぎを聞きつけたのか、近くにいたカルガモがやってきて救出に加わってくれた。
カイツブリが助けにやってきた別のカルガモに気をとられている隙に、やっとのことはぐれてしまったヒナの救出に成功!

難を逃れ、カイツブリの巣を後にする親子、
カルガモにとって雛を含め、カイツブリの怖さを思い知る一日になった。
カルガモ親子が遠くに離れるのを見届けるまで、カイツブリは近くを威圧するように泳いでいた。
「カイツブリ強し、」であった。
体の大きなカワウでも、あまりカイツブリの近くに近づかないのは、このカイツブリの強さを知っているからなのだろう。
つづく ■
前の記事
次の記事