岩本貴志
エンジン・サーモスタットの交換、エンジンパフォーマンス改善!(ランクル75型、1HZエンジン)
更新日:2月20日
アフリカ、ケニアを拠点に活動するカメラマンのブログへようこそ。
今回は愛車ランクルの、エンジン冷却システムの不具合を直したのでその事について。
ちなみに車は、1991年製トヨタ、ランドクルーザー、HZJ75、1HZディーゼルエンジン搭載車。2002年から乗り始め20年を越えました。
管理人が趣味でやっている自己流修理、ご参考になればとブログに記しました。
実際、修理をされる方は自己責任でお願いします。
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整備が生活の一環になっている愛車ランクル75、調子が良くなると走るには気持ちがいいが、いじりガイがなくなり、どうも寂しくなってくるのだ。
寂しくなる事もそれほど無いが。
常に何かしらいじらせてくれる。
「何か直せる事は無いかなー?」と、しばらく前からエンジンが温まりにくくなっきている事を感じていた。
子供を学校へ送るのに往復10キロ、標高差75メートル下って登るルートを走ってもエンジンは温まりきらない。
以前はもっと素早くエンジンは温まっていたはずだ。
10kmほど走行して、家にたどり着いてもまだ水温計の針は下の状態。

高低差75メートルを下って登って、10キロ走行してこの状態、出発前に数分の暖機もしている
長距離走行でも、水温系が表示するエンジン温度は以前より低め。
この水温計、適温は真ん中ではなく、左側1/4あたり。
冷却水がなかなか温まらないのは、なにかしら冷却系に問題がありそうだ。
考えられる原因は
エンジンが冷えている状態でもサーモスタットの弁が閉じきらないのか
サーモスタットの弁がすぐに開いてしまうのか
サーモスタットに異物が挟まって閉じきれない状態なのか
いずれにせよ疑われるのはサーモスタット。
エンジンが温まっていないにもかかわらず、サーモスタットが原因で冷却水が流れ過ぎている状態だ。
てな事で、サーモスタットを交換する事にした
エンジンの温度を随時調整してくれるサーモスタット。
適温付近で、弁を開閉し冷却水の流量を調整し、エンジン温度を適度に保ってくれている。
取り付けている、サーモスタットの開閉温度は、確か79℃だった気がする。
購入時には外されていたサーモスタット
20年前この車を購入した時に、サーモスタットは取り外された状態。
購入当初なかなかエンジン温度が上がらないので、サーモスタットが付けられていない事に気が付いた、平地を普通に走っていても、ゲージのCの位置に行くか行かないかの冷えた状態で、それ以上に上がらない。
当時、ケニアではオーバーヒートを防ぐ目的で、当たり前のように外されていたサーモスタット。今でも時々見受けられる。
サーモスタットの付いていない状態でも、上り坂などで負荷がかかっていれば、エンジンは温まり問題無くなるが、平地での走行、また特に長距離の下り坂などでは当然冷えすぎる。
説明書には、サーモスタットを外して絶対に走るな!と書いてある。
エンジンの燃焼もエンジンが温まって最適化されるわけで、温度が上がって燃焼効率が良くなり、 結果パワーが出て、燃費も良くなる。さらにはエンジン内の磨耗も減り、寿命も延びる。良い事ずくめ。
サーモスタットが無い状態では、冷却水は常にマックスフロー、エンジンは適温まで上がらず、パワーも出ず、燃費も悪くなるので、エンジンにとっても、財布にとって何もいい事は無さそうだ。
20年前の当時はすぐにサーモスタットを購入し取り付けた。
それ以来サーモスタットは交換していない。過去に一度、サファリ中のラジエータートラブルで、取り外したぐらい。
この車、冷却系では18年ぐらい前に一度ウォーターポンプを交換している。
20年間がんばって作動しつづけてくれたサーモスタット君。
いずれにせよ、サーモスタットは寿命だろう。
カー用品横丁、ナイロビ、ケリニャガへ買い物へ
1HZエンジンのサーモスタット、管理人のものは30年前のものだが、現行のランクルHZJ79でも使われている、4.2リッター自然吸気のディーゼルエンジン。
それにしてもマイナーチェンジはされながら、30年以上同じエンジンで同じ車が販売され続けているのにはなかなか恐れ入ってしまう。
名車中の名車という事だろう。
我ながら納得。
サーモスタットは新しいものでも使えると見込んでサンプルは持たずに、ケリニャガ、カー用品横丁へ。
使えなければ返品交換すればいいのだ。
往復20kmの移動はいつものように自転車を利用!とにかく速くて気分も爽快!!!尚且つ、普段の運動不足までも解消してくれる。さらに、今だとシェディングの心配も無用になる!
時間短縮と運動不足解消、尚且つ運賃無料の経費節減でとで、一石三鳥+1。
走行距離は往復20km、標高差は120m、行きはよいよい帰りは怖いルートで帰りはずっと上り坂。1時間程度のサイクリング、120mの標高差を登り切って家に帰りつく頃には、心地よい汗をかき、心肺にも程よい負荷がかかり続けるので、戻ってきた時の爽快感は格別。
購入したサーモスタット
運よく行き付けの、トヨタ系の部品を取り扱っている店で、いきなり見つける事が出来た。
購入したのは下のサーモスタット。
現行ランクル70シリーズ1HZエンジンに取り付けられている、純正品。

82℃ トヨタ純正品を4000シリングで購入 4500円ぐらい?
この時、まだ調子の悪いと思われるサーモスタットは、取り外していない。
記憶だと79℃のような記憶があるが果たして記憶は正しいか。
同じエンジン用、きっと取り付けられるだろう。
調子の悪くなったサーモスタットを取り外す
愛車ランクルHZJ75、1HZエンジンのサーモスタットは、ラジエーターからエンジンへつながるホースパイプ、ちょうどエンジンの入り口部分に取り付けられている。
これら黄色い矢印で示したボルトとホースを取り外せば、サーモスタットは簡単に交換が可能。
サファリ中のトラブルでもスパナさえあれば手軽に取り外す事が出来る。上の二本が12mm 下の1本が10mm。
1本のボルトとホースパイプは、車の底に潜って取り外す。

冷却系の管の中は冷却水で満たされているので、作業前には排水を忘れずに。
忘れて作業すると、びしょ濡れになってしまうのでご用心。
冷却水は再利用するので、きれいなたらいに排水。
また、不凍液として動植物に有害なエチレングリコール等も含まれているので、そこらへんに捨てるわけにもいかないな。

昔のバスクリン、メロンソーダ、そんな色の冷却液、駄菓子屋にも10円でこんな色をした水で溶かす粉状の飲み物があったのを思い出した。
排水が終わったところで、サーモスタットを覆うカバーのボルトとホースチューブを取り外していく。
車高が高い車なので、車の底に潜り込むのにもジャッキアップは不要。
エンジンルーム内も今風の車と違って、スカスカ。
あれを外すためにこれを外さなければとかも無いので、どんな作業もとにかくお手軽、これもまたこの車に愛着の湧く理由だろう。
ブッシュの中での不具合でも、すぐにトラブルシュート、そして修理が可能だ。
ABSも、爆発物のエアバックも無いし、コンピューター制御もまるっきし付いていない。
バッテリーのネガティブさえ外せば、安心して作業が行える。

結束バンドを緩めてチューブを取り外す

露になった古いサーモスタット
一見、異物も挟まっておらず問題は無さそうだけれど、20年間の開閉作業、疲れもドットたまってきたのだろう。
サーモスタット君、とにかくお疲れさん!
新旧サーモスタットを見比べた
新旧で形が大きく違っている。
ぱっと見でも分かるぐらいに、古い物の方が直径が大きい。
とりあえず、受け側の穴の直径よりも少しでも大きければ使えるだろう。
開閉温度は古いものが76℃、新しいものが82℃。
記憶の79℃は76℃の間違いだった。
1HZエンジンの作動適温が、マニュアルには86度とか88度とか書いてあるので、新しい物の方がエンジンを適温に保てそうだ。
古いサーモスタットは、以前から峠の長い下り坂ではエンジン温度が下がりすぎる感があった。
76℃から82℃に6℃上がる事によってそれも解消されるといいが。

新旧で形もけっこう変わった
新しい物の方が、直径は一回り小さくなった。
計測すればよかったな、手元に残っている古い物の直径は64mm、(後に開閉テストのために取り外した際計測、直径60mm)
開閉便の直径は同じぐらい。
素材はゴムだが、中に金属の補強が入っているのだろうか?
横から見てみると

新しい物の方が細長く開閉ストロークは少し長そうだ
古いサーモスタットは、金属部品もゴム部品も肉厚で頑丈な作り。
新しくなって全長が少し伸びて、その分開閉ストロークは若干大きくなっているように見える。
ピストンは新しいほうが太い。
パット見た感じ、そんな違い。
作動テスト
鍋に水を入れガスコンロで熱してから再び冷ましてサーモスタット開閉便の作動のテストを行なった。

新旧サーモスタット、開閉動作範囲
テストの結果、古い76℃の方が当然ながら速く開き始め、つづいて新しい82℃のサーモスタットの弁が開き出した。
作動は正常、温度計が無かったのが惜しまれる。
さらに水を温め続け、弁がどこまで開くか確認した。
新しいサーモスタットの方が古いものよりも弁がより大きく開く事を確認した。冷却水の流量をより多く確保出来そうだ。
温度が下がっていく時の動作。
熱湯を冷やしていくと、新しいものは素早く弁が閉じたが、古いものは76℃(推定)よりも温度が下がってもなかなか弁が閉じきらず、少しだけ開いた状態がしばらく続いた。
かなり冷ましてから、やっと便が閉じきった。